The little match episode

マッチが何となく好きだ。

あの風貌にはちょっとした愛らしさがある。

擦った時の「シュッ」「ボッ」という潔い音。

オレンジ色の炎が

最初は花火のように勢いよく

それから落ち着いたきれいな雫型になる。

そしてあっという間に役目を果たし

白く細い一筋になって天に昇っていく。

その一連の光景は

ちょっとした魔法

まじないみたいだ。

その小さな魔法のstick達が

これまた小さな引き出しの中で

頭を揃えて眠っている。

自分の出番を今か今かと待ちながら。。

私の引き出しにも

マッチがいくつか在るらしい。

ふいに小さな炎が灯って

身体の底がじんと熱くなる事がある。

それは日々の中ですぐ消され忘れてしまうような

ほんの些細な出来事。

でも時折引き出しの奥から

マッチを一本取り出して

擦ってみるのもいいかもしれない。

そうして、小さな灯に浮かび揺らめく

例えばこんな記憶のひとひらを暫し眺めていようか。。

Mari Takahashi