寛容のオルギア

アントワープのアーティスト、ヤン・ファーブルの舞台を観た。

開演早々、白いランニングにブリーフ姿の男女数名が自慰行為を始めたり、テレビだったらきっとピー音鳴り放しだろう罵倒の連発。

仕舞には、ほぼ全員が全裸で乱痴気騒ぎ。

日本での公演が許可されたのが不思議なくらいだ。

でもそこには、確かに洗練された美があった。

揺らめきながら暗闇に消えて行く煙草の煙。

深く官能的に響く声。

やわらかな光に煌きながら、スローに舞うショッピングカート。

怪しく光る皮のソファ。

ヘルムートニュートンの写真に出てきそうな強い女性達。。

とてもセンスのよいB級映画を観た後のような爽快感があった。

帰りに、駅のホームでばったり出演者達に会い、少し話した。

ついさっきまで私達の目の前ですべてを晒していたダンサーの一人が

「僕はフランスのボルドーに近い田舎で育ったから、静かで朝目を覚ますと爽やかな風と小鳥の囀りだけが聞こえるような、そんな生活が好きなんだ」

とはにかんで笑った。

実に清々しい公演だった。